鶴清麿は妙蓮寺の境内で、 毎日機嫌よう遊んだもんじゃ。 腹がへると、「や
せ、やせ、うまをくれ!」 とせがんだ。 ''
「はいはい、すぐにおいしいもんを作りましょう」 と、 八瀬は小麦粉を練っち、
なごう伸ばしち湯がき、 黄な粉をまぶした菓子を鶴清麿に差し出した。 「やせ、
うまいのう!」 と、鶴清麿はいつも残さずたいらげたんじゃ。 '
毎日 「やせ、うまじゃ うまじゃ」 と鶴清麿んおやつをせがむ声が聞こえたと。
いつのまにかそのおやつが 「やせうま」 の名になったそうな。 '
鶴清麿は実に聡明な貴子に育ち、村人の崇敬を受け、
死後、 「御所大明神」として祀られたちゅうことじゃ。