初 瀬 も の が た り

人柱

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 いよいよ人柱になる日、村人は、その場所である上市の土手には誰も
行けませんでした。あまりにもお初がかわいそうだからです。   

 やがて大きな穴が掘られ、お寺のお坊さんの読経(どきょう)とともに
お初は人柱としていけられました。               

 工事をする人々は、一生懸命お初の土手に土をかけました。お坊さん
の、お経を読む声だけがしっかりと響いて暗い空気が流れ、やがてお初
の入れられた穴がふさがれました。               

 誰もが泣きました。声を上げて泣いていました。        



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