初 瀬 も の が た り

悲しい運命

 F                                           
 「おみつさん、このとおりじゃ村のためと思うて、何とか考えてく
  れんじゃろうか?」                   

 「お初、すまんがみんなのためじゃ。人柱になってくれ」   
 「ああ・・どうして!・・・」               
 あまりに突然の話に、母お光は泣き崩れました。       
 お初の家は、お父さんが前の年に亡くなり、たいへん貧乏でしたが
働き者のお初と、小さな弟や妹たちが助け合って、幸せに暮らしてい
ました。                          

 なんで、お初に人柱などになってくれと言うのでしょうか。  
 初めは反対していたお光やお初でしたが、最後には仕方なく、泣く
泣く人柱になることを承知してしまいました。         




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