初 瀬 も の が た り
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慶安2年の日照りは、特にひどいものでした。 ’
「うちんイネが、水がのうて枯れてしまう。水を流しちくりい」
「おまえんとこは昨日入れたじゃねえか」 ’
「そげんこと言うてん、ちっとしか入れんじゃった」 ’
「なに言うか、もうおまえ方今日は入れんでいい!」 ’
「こんちくしょう、これでもくらえ!」 ’
・・・と殴りかかり、とうとうけんかになってしまうこともありま
した。 ’