初 瀬 も の が た り
① ’
むかし、挾間村はたいへん貧乏でした。 ’
と言うのも、おコメの出来ぐあいが悪かったからです。日ごろお百姓が食べ
るものは粟（あわ）・稗（ひえ）・豆 ばかりで、米のご飯はめったに食べられ
ませんでした。 ’
たまに米を炊くときは、麦のたくさん入った、色の黒いご飯ばかりです。
挾間の村に米がたくさん出来ないのは、米づくりに必要な水がないからで
した。田植えをしても、夏に日照りが続くと、水田がカラカラに乾いてひび
割れ、稲（イネ）が枯れてしまうことがたびたびありました。 ’
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