げに恐ろしきは、旅先での、女性の度胸なり

  中国、桂林の言わずと知れた名所、 璃江(りこう)下りの船上で、 怪しげな現地の2人組が、 「いかにも本場の!」という雰囲気をかもしている 硯(すずり) を持って現れました。 もちろんお目当ては金払いの良い、 お人よしの日本人観光客です。

  案の定、 同行していた人の良いA氏(当時収入役)は、 訳のわからん中国語の説明に妙に納得し、 1万円札を出してその硯を買っていました。'

  怪しげな2人組が喜んで帰ろうとした、その時、 やはり同行していたM女史(当時も今も保健士)が、 やおら小生が持っていた 「時計付き電卓」 を取り上げ、 2人を呼び止めたのです。

 「ちょっと、あなたたち。 この高級電卓とその硯を交換しても良いわよ」

  え?えええ〜? そりゃまあ(当時としては)最新型のモノではあるけど、値段は3千円程度、しかもそれは買ったのではなく、徴収委員から記念品の余りを頂戴したモノだったのです。

  怪しげな2人組は天眼鏡を取り出し、 それを丹念に調べ始めました。

胸中ハラハラの小生

  しばらくして、何やら密談を交わした後、怪しげな2人組はにやりと笑って、「O.K.」のサイン。 細工を施した、 やけに重たい硯を置いて、 足早に立ち去って行ったのです。

  満面の笑みのM女史と、苦渋の表情を浮かべる A収入役、 そして時計は失ったものの、 代わりにかさばる硯を手にした(価値の程は判らない)'小生 ・・・。
電卓と交換!
↑モンダイの、ちょっと怪しい硯

  結局 一番得をしたのは、 やはり怪しげな2人組なんだろうな 〜 と、 改めて思うこの頃です。

  ところで、誰か、硯の価値が判る人いらっしゃいませんか?

璃江下り(まるで南画の世界)
噂に違わぬ、素晴らしい景観。 水墨画の異世界が広がる。


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