編集後記



  過疎地域振興フォーラム「い
なかがはりきる時代が やってき
た」 が、三重町で、開催された。
  企てたのは、 大野郡内の広
報担当たちだ。 自分たちの 資
質を高め、広報紙の充実を図り、
地域ぐるみで活性化を考える連
絡協議会もつくっている。
  ある村の広報担当がいう。
「過疎化といっても 村が消える
わけじゃない。静かに運命を受
け入れ、暮らしていくのもいい。
でも、何かを、今 やらかしてお
かなければと思うんだ」
  彼は 休日のほとんどを 、地
域の人々と語り、交わる機会に
充てている。
  人が 多ければよい訳ではな
い。「心の中にある過疎」こそが
地域の問題なのだ。
  この村は助かるかもしれない。
            (1993.9)

  過日、町内の小学校の漫画ク
ラブから講師(?)の依頼を拝受
した。
  漫画にせよ絵画にせよ、何が
正しいとかこれが間違いとかいう
ことはない。ただただ、ほめた。
  3度ほめて2度叱れという言葉
もあるが、 とにかく うまいうまいと
ほめた。
  ところが、 ほめていると、 本当
にその子の持つ個性が目につい
て、終いには「本当にうまい」など
とほめていた。
  個性は光る。 それを認められ
た子は、さらに光る。
  「顔を太陽に向けていれば(即
ち、その人の良いところだけを見
ていれば) 影を見ることはない」
と言ったのは誰だったか。
              (1994.1)

  人には誰でも、忘れられない
音があるものらしい。
  急ブレーキの音に恐怖を覚え
る人もいれば、 波の音で初恋を
思い出すロマンチストもいるだろ
う。
  取材先で出会った女性は、蝉
(せみ) の声が、戦争の記憶と重
なっていると言った。
  「政治が変わるのは 結構だけ
ど、 孫達が戦争に 狩り出される
のは、絶対にいやですよ 」
  蝉しぐれ、 8月15日、 敗戦、
大好きだった兄の、 戦死を告げ
る公報・・・。
  彼女の心に残った戦争は、い
つも蝉の声とともによみがえる。
  そして、また夏が来た。
            (1994.7)




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